自社債権を無事回収できるかどうかは、自社の存続にも関わる重要な問題です。もし貸したお金や売掛金などの回収に失敗した場合、会社の資金繰り悪化を招くことになります。
それでは、万が一売掛金などの未払いが起きた場合、自社債権を守り切るためにはどのように行動したらよいのでしょうか。この記事では、未払いが発生した時に取りうる手段について解説します。
債権回収の手法
事前にきちんと支払期日などについて合意したにもかかわらず、取引先が商品の代金などを支払ってくれないことがあります。
この場合、まずは事務処理ミスなどの可能性を考えて、何度かメールや電話で催促をするのが一般的です。しかし、それでも払ってくれない相手に対しては、法的措置を検討する必要があります。
債権を回収するための手段としては、次のようなものがあります。
・催告書の発送
内容証明郵便で催告書を送ります。催告書を送るという行為は法的措置の準備段階であるため、相手に大きなプレッシャーを与えることができます。
なお、この時、請求を行う前提として債務者から期限の利益を奪う必要がある時は「支払いがない場合には期限の利益を喪失する」旨の通知も合わせて行います。
・債務名義の取得
内容証明郵便を送っても相手のリアクションがなかったり、支払いを拒絶されたりした場合は、いよいよ法的手続に移行します。もし通常訴訟の提起や支払督促の申立てなどを経て、裁判所から債務名義(勝訴判決、仮執行宣言付支払督促など)を得ることができれば、強制執行が可能になります。
・相殺
もし未回収債権のある相手方に対して、自社が債務を負っているような場合には、お互いの持つ債権を債権額の限度で消滅させる、という方法も考えられます。
・担保権の実行
相手方の不動産や動産、債権に対して担保権を取得している場合には、担保権の実行によって債権を回収する方法もあります。
・商品引き揚げ
相手方の承諾を得られた場合は、自社商品を引き揚げて未払い分の債権を回収する方法もあります。
・債権譲渡
相手方が第三者に対して債権を持っている場合には、その債権を現金の代わりに譲渡してもらうことで債権を回収する、という方法もあります。
債権保全の手法
相手方企業が倒産の危機にあるなど、債権回収そのものが危うくなるケースがあります。こうした事態でも自社の債権を確実に回収できるようにしておく方策を「債権保全」といいます。債権を保全するための代表的な手法としては次のようなものがあります。
・担保権の取得
相手方の所有する不動産や動産、債権といった財産的な価値のあるものを担保権(抵当権、譲渡担保など)を設定してもらいましょう。担保権を設定しておけば、万が一の事態が起きても優先的に弁済を受けられます。
・連帯保証契約の締結
経営者個人やその親族に連帯保証人になってもらう方法もあります。
債権回収・債権保全の相談は弁護士に
未回収債権を回収するためには、時法的な手段に訴えなければいけないこともあります。特に、相手方の資金繰りが悪化しているような場合には、早めの対処が必要です。確実に回収を行うためにも、弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。