会社法とは、文字通り会社を対象とした法律です。会社の設立から資金調達、組織運営まで会社に関する様々な事項について規定しており、まさに適切な企業経営を行う上では欠かせないルールの1つとなっています。

この記事では、株式会社の運営の仕組みや経営戦略に関わる会社法の主な規定等について解説します。

機関構造の選択

会社を設立する際はまず機関設計を行い、会社にどのような機関を設置するか、すなわち組織や役職のあり方について決めていくことになります。

会社法では、株式会社の機関として、株主総会、取締役、取締役会、監査役、監査役会、委員会、会計監査人、会計参与の9つが定められています。そのうち、どの機関を設置しなければならないかについては、会社の規模、および上場しているかによって変わります。

これは、大会社や上場企業では株主などの利害関係者が増え、利害関係者の利益等に配慮する必要が出てくるためです。そのため、一般的に、会社の規模が大きい場合や上場している場合には、機関設計に関する制約も厳しくなります。会社を設立する場合は、会社の規模や性質を考えながら、自社にとって適した機関設計を考えることが重要なのです。

会社分割・営業譲渡

M&Aの実施にあたっても、会社法の規定は重要な意味を持っています。M&Aの手法のうち、会社の一部の事業を他社に承継させるような場合には、営業譲渡や会社分割が選択されます

営業譲渡と会社分割は、ともに事業の一部または全部を他社に承継させるという意味では、似たような効果が期待できます。しかし、この両者は会社法上まったく違う性質を持つ手法であるため、必要となる手続き等が大きく違います。債権者保護手続の有無など様々な点で違いが見られますので、他社に事業を譲る、あるいは譲り受ける場合については、慎重に手法を選択しなければなりません。

株主総会・取締役会の運営

会社法の中には、企業の意思決定には欠かせない株主総会や取締役会の運営に関する規定も存在します。

・株主総会

会社法では、株式会社は年に1回定時株主総会を開催することが義務付けられています(会社法296条1項)。また、取締役(代表取締役)や株主が、必要な時に臨時の株主総会を招集することも認められています。

・取締役会

上場会社では、3人以上の取締役全員で構成される取締役会を3ヶ月に1回以上の頻度で開催する必要があります(会社法363条2項)。

役員報酬の決め方

役員報酬については会社法361条等に規定があり、定款または株主総会の決議で決定することが要求されています。これは、役員自身に報酬を決めさせると、お手盛りが発生する危険があるからです。

したがって、代表取締役が勝手に他の取締役の報酬を減額あるいは増額する、取締役が取締役会で自分たちの報酬を決定する、といったことは基本的にできません(報酬の総額・上限が株主総会決議で決められている場合などを除く)。

スクイズアウト・株集中策

M&A、経営権の安定といった目的のために、ある特定の株主に対して自社株を集中させなければいけない場合があります。

この時、使われる手段としては、任意の買取やスクイズアウトなどがあります。このうち、任意の買取は株主から個別の同意を得て買い取る方法です。一方、スクイズアウトは株主の個別同意なしに株式を取得する方法で、株式の併合、株式等売渡請求などの手法が使われます。

企業の法的課題解決は弁護士に

企業活動には会社法を始めとする様々な法律が関わってきます。法的リスクを未然に回避し、また万が一の事態に備えるためにも弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。

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