企業の社会的責任を問う機運が高まる中、経営に置いてもコンプライアンスへの取り組みが重視されるようになってきました。この記事ではコンプライアンスの取り組みの中でも、特に企業内で問題となりやすいトピックについて紹介します。
就業規則の整備
就業規則とは社内規定の一種で、労働者の賃金や労働条件、労働条件等について事業場ごとに定めたものです。なお、勤務形態に関わらず、労働者を常時10人以上雇用している会社の場合は、就業規則の作成・届けが法律によって義務付けられています(労働基準法89条)。
就業規則に記載するべき事項としては、必ず記載するべき絶対的記載事項と、任意で記載する相対的記載事項があります。
絶対的記載事項には、労働時間、賃金、退職に関する事項があります。また、相対的記載事項には退職金制度やハラスメント規定などがあります。
就業規則は労務管理における重要規定ですので、もし整備されていない状態だと労使間でトラブルが発生した時の対応が難しくなります。たとえ従業員10人未満の会社であっても、できれば就業規則は整備することをおすすめします。
セクハラ・パワハラなどのハラスメントの対応
セクハラ・パワハラといったハラスメントへの対応も、企業にとっては重要な課題です。事前の防止策を講じつつ、また実際に事が起きた場合には迅速かつ適切な対応を行わなければなりません。
事前にできる対策としては、ハラスメント規定やハラスメント対策マニュアルの策定のほか、ハラスメント相談窓口の設置、従業員教育(ハラスメント研修)などがあります。そして、実際にハラスメントの訴えがあった時は、速やかに事実関係を調査し、被害者を救済することが求められます。
問題社員への対策
ハラスメントを始め、勤怠不良、業務命令違反、情報漏えいといった問題行動を起こす社員への対応も急務となっています。
社員の問題行動があった場合、通常は指導、懲戒処分、解雇の順で処分を検討することになります。解雇については、「正当な理由」がなければ認められず、指導などを行わずにいきなり解雇を行ってしまうと後で問題になる可能性があります。社員の問題行動に対しては、適切なプロセスを踏んで対応することが大切です。
労働紛争への対応
解雇などの懲戒処分や配置転換、未払い賃金等をめぐる労働紛争は、企業にとっては大きなリスクとなりえます。
労働紛争の多くは、労働条件の明示、会社の実態に即した就業規則の作成といった事前の対策により回避できます。
また、もし不幸にして紛争が起きた場合は、誠実に交渉を行い、早期解決を目指すことが重要です。
労働災害の対応
もし労働災害が発生した場合、労災保険を使っての被災者の治療、事実関係の把握、労働基準監督署への届出・申請、必要な捜査への協力といった使用者の義務をきちんと果たすことが重要です。
被災者の健康保険証で治療を受けさせる、届出を怠るなどして労災発生を隠蔽することは違法です。発覚した場合、企業のイメージダウンにもつながりませんので、法令遵守の対応を心がけましょう。
社内問題の解決は弁護士に
本文で紹介したトラブルを防止・解決するためには、法律の専門家の助言が欠かせません。何かが起きる前に、早めに相談することをおすすめします。