今日、企業ではコンプライアンス経営が大きな課題の1つとなっています。この記事では、企業のコンプライアンス実現に欠かせない対策を3つ解説します。
社外役員候補
コンプライアンス経営において、重要な役割を果たしているのが社外役員(社外取締役、社外監査役)の存在です。
社外役員の特徴は、他の取締役や監査役とは違って「社外」すなわち、当該企業と関係のない外部の人間から選ばれる点にあります。これは、一般株主との利益相反を防止するべく、社外役員には当該企業の代表取締役などから独立した存在であることが求められているためです。したがって、少しでも当該企業と関係のある人物(グループ会社の役員、取締役の配偶者など)を社外役員候補とすることはできません。
コーポレート・ガバナンス強化の必要性が注目される中、社外役員には客観的な立場から経営チェックを行い、健全な企業経営を維持する役割が期待されています。また、こうした社外役員の役割に鑑み、社外役員候補に弁護士が選ばれるケースも増加中です。
弁護士は法律の専門家であり、また有事における紛争解決のエキスパートでもあります。社外役員候補者として弁護士を活用することには、無用な法的紛争の予防、コンプライアンスの実現につながるといったメリットがあります。
社内規定・規則の作成
コンプライアンスの実現のためには、一人ひとりの社員の意識も重要です。したがって、社内におけるルール作りやその周知徹底も必要になってきます。
弁護士はコンプライアンス規定を始めとした社内規定・規則の作成をもサポートします。
社内規定・規則には就業規則を始めとする組織管理規定、仕事の進め方のルールに関わる業務管理規定など、様々なものがありますが、どれも適切に内部統制を行い、また不正などの不祥事を防ぐためには欠かせないものです。
弁護士は法律の専門家として、法令に則った、また企業の実態に即した社内ルールの策定・整備を行います。
第三者委員会
コンプライアンス違反が起きた場合、第三者委員会を設置して対応することが、問題解決に役立つ場合があります。
第三者委員会とは、企業においてコンプライアンス上の問題が発生した時に任意で設置する組織です。
第三者委員会はその名の通り、企業から独立した外部の専門家によって構成されています。何か問題が発生した時に企業に代わって調査を行い、事実関係や真相を明らかにするのがその使命です。
第三者委員会を設置するメリットは会社から独立した組織であるために、調査結果の信頼性がある程度担保されていることです。したがって、社内調査ではその結果を外部に信用してもらえないような場合や、技術的・専門的な判断抜きで真相解明が難しい場合においては、第三者委員会を設置して調査を委ねる意味は大きいといえます。
コンプライアンス問題への対処は弁護士に
コンプライアンスの問題には法的問題も関わってきます。したがって、適切に対応するためには法律の専門家の助力が不可欠です。弁護士は会社の顧問として社内ルールの策定などを支援する他、公正中立な立場で第三者委員会に参加したり、あるいは社外取締役候補になったりと、様々な場面で活躍します。コンプライアンス経営の実現を目指すのであれば、弁護士の知見を積極的に生かしてみてはいかがでしょうか。